所沢名物「焼だんご」の歴史~有名・人気8店舗を実際に食べ比べて検証しました

山口屋(所沢)の焼だんご

「え?これが本当に焼だんご?」「一度所沢の焼だんごを食べたら二度と普通の焼だんごには戻れない」「各店舗で味が違って全部美味しい!」

所沢の焼だんごは「米」と「醤油」しか使っていないにも関わらず非常に奥が深く、100年以上もこの土地で愛され続けてきました。所沢の焼だんごを食べるために市外・県外から訪れる方も少なくありません。ここでは、所沢で焼だんごが広まったその歴史から、「老舗」「名店」と言われている焼だんごの特徴、おすすめの焼だんご店の比較・味の楽しみ方をまとめています。

所沢焼だんごの歴史、焼だんごが所沢名物である理由

武蔵屋やきだんご(所沢)の由来

所沢で焼だんごが親しまれるようになったのは、「所沢」という土地の性質に由来があります。水田を作れるほど水源がなかった昔の所沢では、「稲作」というと普通の畑に稲を植えて育てる「陸稲(おかぼ)」が主流でした。陸稲で作った米は水田で作った米に比べて水分が少なく、炊いて食べるとボソボソとした食感でおいしくないという問題点がありました。

そんな中、当時の所沢に住んでいた人たちは、米を粉状にして蒸し上げることで陸稲の米をおいしく食べたのです。これが、所沢の焼だんごの発祥と言われています。この食べ方は農作業中のおやつとして農民の間で流行となり、所沢全土に広がっていったと言われています。

所沢の焼だんごが広まったのは室町時代以降

所沢の焼だんごが有名になったのは、焼だんご発祥から少し経った室町時代。後に江戸城を建築したことで有名になる「太田道灌」が、鷹狩りの帰りに所沢に立ち寄ったことに由来します。

太田道灌が江戸城建築中に所沢へ立ち寄ったのは「仲秋」、現在でいう8~10月ごろであったそうです。この時期といえば「お月見」の時期であり、道灌も所沢の月を見て、句を唄いながら宴を開いたとのことです。

その宴の際、所沢に住んでいた家臣が「所沢の焼だんご」を道灌に献上したところ、焼だんごの見た目とその味を称賛し、以来ことあるごとに道灌は所沢の焼だんごを所望するようになったそうです。

時は過ぎて道灌の没後、所沢の名家たちは道灌の死を悼み、道灌に献上した焼だんごと同じ製法で作っただんごを、「道灌団子」という名前で鎌倉街道や甲州街道付近にある茶屋で振る舞うようになり、多くの人々に親しまれるようになりました。

所沢焼だんごの特徴

山口屋(所沢)の焼だんごを深井醤油に漬けている様子

現代の所沢焼だんごの特徴は、以下3つです。

  1. うるち米の米粉を使用
  2. 醤油を塗りながら焼き上げる
  3. 四個一串

また、明治時代に所沢の「焼だんご組合」が決めた所沢の焼だんごの定義もあります。

焼だんご組合が定義している「所沢の焼だんご」

  1. 四個一串で、だんご同士がくっつかないよう外二つは大きく中二つは小さく作る
  2. 串は五寸五分の青竹を使用、串の半面に竹の青い部分を残す
  3. 醤油は深井醤油のヤマホを使用
  4. 経木を使って包む
  5. 炭は「消し炭」を使う
  6. 隠し味として一割の酒を混入する
  7. だんご二本で一皿

しかし、現代に存在する所沢の焼だんご屋のすべてが、焼だんご組合の定義を守っているわけではありません。

炭ではなくガス火を使ったり竹串ではなく木の串を使うなど、「所沢の焼だんご屋」を名乗っていても時代の流れに合わせて独自の工夫をしている店がほとんどであるため、現代では最初の3つの定義さえ満たしていれば、所沢の焼だんごであると言えるでしょう。

美味しい所沢焼だんごの特徴

深井醤油(所沢)の玄関・暖簾

「名店」と呼ばれている焼だんご屋では、共通して以下3つの点にこだわりを持っています。

  1. 醤油
  2. 炭焼き

まず、「米」はだんごそのものの味・食感を決める重要な役割を持っているため、名店の店主さんの話では「米がおいしくないとだんごは絶対においしくならない」と話しています。

焼だんごは埼玉県の名産品なので、米も埼玉県のものを使いたいところですが、埼玉県産の米を使っていると明言しているだんご屋は少なく、どちらかと言えば「自分がおいしいと思った米を使っている」というだんご屋の方が多いです。悲しいことに、埼玉県のお米はどんなにひいき目に見ても、北海道・北陸・東北のお米と比較し味が劣ります。

ちなみに、所沢の焼だんごが名物になった当初使われていたとされている陸稲の米は、普通の米を使ってだんごを作ったときよりもマズくなってしまうそうです。もちろん、元々マズいとされる米を使ってだんごを作るため当然と言えば当然なのですが、少し残念です。

次に、名店と呼ばれるだんご屋が使っている「醤油」は、どこも所沢で醤油を製造して100年を超える老舗「深井醤油」の醤油です。「所沢の焼だんごは深井醤油のヤマホを使って初めて認められる」と焼だんご組合が定義するだけあって焼だんごと深井醤油の相性は抜群。

ヤマホ深井醤油

しかし、所沢にあるすべての焼だんご屋が深井醤油のヤマホを使っているわけではありません。中には店独自に調整した醤油を使用しているだんご屋もあります。所沢の焼だんごは米と醤油の味しかしないシンプルな食べ物。敢えて深井醤油ではない醤油を使うことで個性を演出している店もあります。

そして、名店と呼ばれるだんご屋はどこも「炭火」でだんごを焼いています。炭火はガス火に比べて火の通りが悪いですし、注文が入る度に炭に火を入れ直さないといけないため、ガス火よりも手間がかかるというデメリットがあります。しかし、炭でだんごを焼くとだんごの中まで火が通り水分を閉じ込めやすい特徴があるため、ガス火で焼いたときよりもだんごが柔らかくなります。また、醤油の焦げについても、ガス火よりも炭火の方が風味豊かになります。

何より、名店と呼ばれる店はガス火焼きが主流でない頃から所沢で焼だんごを販売していたお店ばかり。昔からのレシピを変えずに焼だんごを販売するというプライドが、炭火でだんごを焼く原動力になっているのかもしれません。

所沢焼だんごと深井醤油の関係性

深井醤油(所沢)の店構え

「所沢の焼だんご」を名乗る上で欠かせない存在なのが、所沢市で醤油を作って百年以上という老舗「深井醤油」。名店と呼ばれるだんご屋の多くが深井醤油の醤油を使用しており、深井醤油を使用しているだんご屋の店主さんは「所沢の焼だんごには深井醤油が合う」と口を揃えて語ります。

「所沢の焼だんごの定義」で触れた深井醤油のヤマホは、「本むらさき」という種類の醤油に深井醤油独自の調味料を加えて味を調整した醤油。普通の醤油に比べて醤油の味に奥行きが出るのが特徴です。

所沢にある多くの焼だんご屋で使用されている深井醤油は、焼だんごだけでなく「ところざわ醤油焼きそば」や地元のラーメン屋さんでも使われることが多い醤油です。

カッパラーメンセンター(所沢)の深井醤油ラーメン

カッパラーメンセンター(所沢)の深井醤油ラーメン

宮本町にある店舗では各種醤油に加えてたまり漬けなども販売しているため、近くに来た際は是非立ち寄ってみてください。

深井醤油|名物「たまり漬」はお土産におすすめ!

老舗の所沢焼だんご店

山口屋

山口屋(所沢)の焼だんご

まず最初に紹介するのは、所沢の焼だんご屋で最も有名なお店であり、店を構えて100年を超える「山口屋だんご店」。

山口屋で使用されている醤油はもちろん深井醤油で、炭火を使ってオーダーが入るごとに焼き立てを出すという正統派スタイル。一本100円とお得な価格ながら、いつ行ってもアツアツで柔らかいだんごが食べられます。だんごに使用している米は「企業秘密」と教えていただけませんでしたが、「自分が食べておいしいと思った米を使っている」と店主さんが語る通り、他のだんご屋と比べても米の香りと甘みを抜群に感じるだんごでした。

だんごの食感に関しても、米のつぶつぶとした感じが残っているというよりは、非常に滑らかで歯切れのよい感じで「誰が食べてもおいしいだんご」という感想を抱きました。

また「山口屋は遠いから行くのが難しい」という人は、所沢駅直結の西武所沢店内にある「たいやき瀬田商」に行けば、山口屋の店主さんもしくは店主さんから焼き方を伝授された店員さんが山口屋と同じ材料を使ってだんごを焼いてくれているため、そちらに行くとよいでしょう。

しかし、たいやき瀬田商で販売されているだんごはガス火で焼いた作り置きであるため、本店の味に比べると少し劣ってしまいます。

店名 山口屋だんご店
価格 100円/1本
企業秘密
醤油 深井醤油
焼き方 炭火焼き
最寄り駅 小手指
住所 所沢市上新井埼3-22

武蔵屋焼だんご

武蔵屋焼きだんご(所沢)の焼きだんご1本120円

武蔵屋は2019年で創業60周年と山口屋に比べれば歴史が少し浅いお店と言えますが、所沢全土でみれば老舗の一つとして挙げることができる所沢焼だんご界の大御所です。

店内には先程紹介した「所沢の焼だんごの由来」について記された歴史が額に入れられて飾られていたり、店主さんに話を聞けば所沢の焼だんごについて細かく教えてくれるため、所沢市内に住む小学生の夏の宿題には持ってこいのお店です。

武蔵屋も山口屋と同様、炭火と深井醤油を使って注文ごとに焼き立てを用意してくれるスタイルであるため、いつ来店してもおいしい焼だんごが食べられます。

山口屋の焼だんごと大きく違う点はだんごの食感。滑らかな食感の山口屋とは打って変わり、武蔵屋の焼だんごはゴツゴツと米の食感があります。そのため武蔵屋の焼だんごは食べ応えがあり、「農民のおやつ」だった頃の所沢の焼だんごに近い一品となっています。使用されている米はこちらも企業秘密ですが、二つの名店を食べ比べるのも楽しいです。

店名 武蔵屋焼だんご
価格 120円/1本
企業秘密
醤油 深井醤油
焼き方 炭火焼き
最寄り駅 航空公園,所沢
住所 所沢市宮本町1-8-14

奈美喜屋

奈美喜屋(所沢)の店構え

最後に紹介するのは、所沢市観光協会の公式ページ内でも紹介されており、雑誌やテレビにも取り上げられたことのある「奈美喜屋」です。

ファルマン通り近くにあるだんご屋で、以前はダイエー所沢店(現イオン所沢店)の前で焼だんごを販売していた実績もある名店中の名店。味の評判が非常に良く、テレビや雑誌などにも引っ張りだこだったようですが、現在はほとんど焼だんごの販売を行っていません。店内もかなり古く衛生的にも問題あり。

実際、私たちが奈美喜屋へ訪れた際も、「焼くのが面倒臭い」の一言で門前払いを受けることになってしまいました。確かに、奈美喜屋は炭火で焼いているため、客が来る度に炭に火を入れ直すのが面倒であるというのは分かります。店主の言い分からしてみれば、「少ない本数のだんごを焼くために炭に火を入れるのはもったいない」ということなのかもしれません。

しかし、それは炭火を使ってだんごを焼いている他の店も一緒ですし、実際にこうした対応をする店は奈美喜屋以外にありませんでした。10本以上など、利益が取れる本数でないと焼いてくれない可能性が高く、個人で焼だんご正直、「名店」と紹介しつつもおすすめすることができないだんご屋です。

店名 奈美喜だんご屋
価格 110円/1本
不明
醤油 深井醤油
焼き方 炭火焼き
最寄り駅 所沢
住所 所沢市御幸町6-5

有名所沢焼だんご店

次は、名店と呼ばれる焼だんご屋に比べると店の歴史は浅いのですが、各店舗によってだんごに工夫をこなしている所沢焼だんご界の有名店を紹介していきたいと思います。

三上さんちの焼だんご

三上さんちの焼きだんご(醤油)

東所沢駅から徒歩30分、車でないと行くのが少し大変なだんご屋「三上さんちの焼だんご」。所沢市の中心部から離れた場所にありますが、二世帯家族で経営しているアットホームな雰囲気と、ここでしか味わえない辛口醤油の焼だんごが楽しめます。お店のそばは日本大学芸術学部キャンパスがあるため、日芸生もよく訪れるのだとか。

三上さんちの「ピリ辛だんご」は、深井醤油の中に七味を入れて熟成させた特製の醤油を塗りながら焼き上げるだんご。辛さのレベルを3段階から選ぶことができ、辛党ならば是非立ち寄るべきだんご屋です。もちろんピリ辛だんごだけでなく、ノーマルな焼だんごの販売もおこなっているので、味を食べ比べてみるのも楽しいですよ。

店名 三上さんちの焼だんご
価格 100円/1本
不明
醤油 深井醤油
焼き方 炭火焼き
最寄り駅 東所沢
住所 所沢市日比田536

村田屋

村田屋焼だんご(所沢)

西武球場のさらに先、三ケ島付近にあるだんご屋「村田屋」は、「だんごの味は米で決まる」と米にこだわりを持っているだんご屋。だんごにはおいしいお米で有名な「あきたこまち」を使用しており、炭火よりもスピーディで手軽に焼けるガス火を使ってだんごを焼いています。

炭火に比べて香ばしさが劣ってしまうガス火ですが、醤油の味をダイレクトに感じられるという特徴もあるため、あながち悪いことばかりではありません。炭火焼きのだんごとガス火焼きのだんごを食べ比べて、自分のお気に入りを探すのも良いでしょう。

店名 村田屋
価格 110円/1本
あきたこまち
醤油 深井醤油
焼き方 ガス火
最寄り駅 西武球場前
住所 所沢市三ケ島5-506-1

いちかわ屋米店

いちかわ屋米店の焼きだんご

いちかわ屋米店は、名店「武蔵屋」の近くの商店街「かなやま通り」に店を構えるだんご屋。名前の通り米屋さんが経営しているのですが、実は米よりも醤油に特徴があるお店。いちかわや米店の醤油には魚介のダシが入っており、他のだんご屋に比べて味に深みがあります。

また、所沢の焼だんごは一本100円~120円が相場なのですが、いちかわ屋米店は一本70円と半額近い金額。買えば買うほど一本当たりの料金が安くなるとてもユニークなお店なので、「子供おやつのためにたくさんだんごを買っていきたい」という人におすすめのだんご屋です。

店名 いちかわ屋米店
価格 70円/1本
不明
醤油 自家製醤油
焼き方 炭火焼き
最寄り駅 西所沢
住所 所沢市金山町13-12

焼だんごのもぐもぐ

焼きだんごのもぐもぐ(東所沢)で注文

西所沢駅から徒歩5分の場所にある「焼だんごのもぐもぐ」は、所沢で最も綺麗な焼だんごを販売しているお店です。全て手ごねでだんごを丸め、写真のようなまんまるに仕上がります。

しかし、見た目だけが良いのではと侮ることなかれ。もぐもぐのだんごは見た目だけでなく味もしっかりおいしいだんごです。もぐもぐの焼だんごは、埼玉県から「彩の国優良ブランド」として認定されている実績のある焼だんごで、埼玉県で作っている「彩のかがやき」という米と深井醤油を使用している100%埼玉産の焼だんご。どこに出しても恥ずかしくない「埼玉の名産品」と言えるでしょう。

店名 焼だんごのもぐもぐ
価格 110円/1本
彩のかがやき
醤油 深井醤油
焼き方 炭火焼き
最寄り駅 西所沢
住所 所沢市西所沢1-18-5

食の駅 所沢店(十四軒大樹)

食の駅所沢(十四軒の和菓子)焼だんご

埼玉県や周辺地域の名産品・農産物を販売している「食の駅 所沢店」で購入できる「十四軒大樹」の焼だんご。食の駅の近くにある十四軒大樹作業所という施設で作られています。

作り置きを販売しているため、だんごが冷めて硬くなってしまっていることもありますが、作業所から焼き立てが到着したタイミングであればアツアツが楽しめます。味に関しては、癖がなくだんごの食感が非常に柔らかい食べやすいだんごになっています。

店名 食の駅 所沢店
価格 270円/3本
不明
醤油 不明
焼き方 ガス火
最寄り駅 東所沢
住所 所沢市下富583-1

所沢焼だんごまとめ

焼だんご店 お米 醤油 焼き方
山口屋(所沢)の焼だんご山口屋 企業秘密 深井醤油 炭火
武蔵屋焼きだんご(所沢)の焼きだんご1本120円武蔵屋 企業秘密 深井醤油 炭火
奈美喜屋(所沢)の店構え奈美喜屋 不明 深井醤油 炭火
三上さんちの焼きだんご(醤油)三上さんちの焼だんご 不明 深井醤油 炭火
村田屋焼だんご(所沢)村田屋 あきたこまち 深井醤油 ガス火
いちかわ屋米店の焼きだんごいちかわ屋米店 不明 自家製醤油 炭火
焼だんごのもぐもぐ(東所沢)の焼きだんご焼だんごのもぐもぐ 彩のかがやき 深井醤油 炭火
食の駅所沢(十四軒の和菓子)焼だんご食の駅所沢店 不明 不明 ガス火

焼だんごの原材料は「米」と「醤油」のみなので、味のバリエーションが一つしかない、どこで買っても味に違いがないと思われがちです。しかし、使用している米や醤油、焼き方や販売方法の違いによって、各店舗によって大きく違いが生まれる面白い食べ物です。

今回紹介した名店・有名店以外にも、所沢の焼だんご屋はまだまだたくさんあります。家からの距離・味・価格などからだんご屋を比較して、お気に入りのだんご屋を探すのはとても楽しいと思います。

(各種情報:とこWEB調べ)

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